通信速度と教養について

酔いの残った頭で思いついたので述べてみた．文の稚拙さは勘弁して下さい．あんまり推敲してません．

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テーマ：通信速度の向上に従って「教養」の必要性は小さくなり,社会生活に必要となる知識の質が変化する．

「教養のある人」がどのような人間を指すかについては様々な意見があるが，ここでは「文学，学問等をよく知る人」と定義する．

goo辞書によると教養には「社会人として必要な広い文化的な知識」という意味がある．
これはつまり，「社会において恥をかかずに人と会話するに必要な知識」である．
要は「話題についていくための知識」だ．

まず，「話題に付いていくための知識」が「文学・学問等の知識」となった経緯を考察する．

通信手段の限られていた時代において人々の共通の話題は少なかった．
TV等のメディアが無い時代である．情報はフットネットワークによって伝播される．
事象の発生から，それが皆の知る所となるには現代とは比べ物にならない時間がかかったし，人の口を介して伝播される情報は伝言ゲームと化す．正確に伝える為には書物として，文字で伝達する必要がある．

よって，共通の話題には，

①ある程度以上過去の事象である．
②貴重品である紙（もしくは木管等）に，文字で記される価値のある事象である．

という制約が付く．これを良く満たすのが文学や学問等の書物である．

以上が「話題に付いていくための知識」が「文学・学問等の知識」となった経緯である．

更に言うなれば，識字率を意識する必要もある．文字で伝達されると述べたが，当然のことながら字の習得には経済的な余裕が必要であり，その上①②を満たす書物を入手してその内容を子女に教え込み，知識を養わせるには相応の金銭が必要である．当然貧しい庶民には手が届かない．
よって，上記の①②を満たす書物についての知識にはステータスとしての価値があった．

教養をステータスとする価値感は現在でも引き継がれている．文学や学問をよく知る人は尊敬をもって接せられる．（これは「教養のある」という形容句が明らかに褒め言葉である事から明らかである．）

しかし教養は現在では「話題についていくための知識」であるとは言えない．
通信速度の向上によってTV・インターネット・雑誌等が出現し，リアルタイムもしくはそれに近い情報伝達が可能になった．さらに昨今の芸能ニュースの氾濫からも分かるとおり，情報伝達のコスト低下により，価値の低い情報までが垂れ流される．①②を満たさない情報でも共通の話題となるのである．

また，教養に必須の学問は習得に苦労を要するが，芸能ニュースや時事を話題にのせるのは至極簡単である．必要なのはワイドショーを見る時間だけだ．習得の苦労はステータスをステータス足らしめるが，実用性の低いステータスは若年層には敬遠される．

このように通信速度の向上（と通信コストの低下）は「教養」の持つ２つの意味「話題に付いていくための知識」と「文学・学問等の知識」を乖離させた．後者の意味での「教養」は必要性を削り取られ，「話題に付いていくための知識」は変質したのである．